# 31 脂肪(脂質)について考える 其の二
脂肪の過剰摂取がもたらすリスク
前回のブログからかなり間が空いてしまいました。。今年はもう少しコンスタントにブログの更新できるように頑張ります。
さて、前回は脂肪の摂取が多いほど中性脂肪が下がりやすかったり、死亡率の低さと関連があったり、脳卒中や心筋梗塞などにはむしろなりにくいですよという内容の話をしました。
今回は脂肪の過剰摂取による影響についてお話したいと思います。
脂肪や肉類は大腸には大敵
様々な研究から大腸ガンの危険因子として脂肪や肉類(赤身肉、加工肉)の摂りすぎが問題になることはほぼ確実とされています。
少し詳しく説明すると、脂肪を摂りすぎると胆汁酸という消化液が増加します。
胆汁酸は肝臓でコレステロールを材料に作られており、肝臓から排出されて腸に流れ込んで食事由来の脂肪を分解(正確には乳化と言います)し吸収しやすくする消化液のことで、これが多くなると大腸ガンの発症リスクになります。
肝臓でコレステロールから作られた最初の胆汁酸のことを「一次胆汁酸」と言います。
この一次胆汁酸は腸内である種の酵素によって「二次胆汁酸」となり大腸で再吸収されるという流れになります。
最近の研究一次胆汁酸から二次胆汁酸に変化する際にフリーラジカル(活性酸素)が発生し、これが細胞のDNAを傷つけガンの発症に結びつくのではないかと指摘されています。
また赤身肉には鉄分が多く含まれており、鉄と脂肪が一緒になることで大腸ガンのリスクを増大させます。
鉄と脂肪が合わさることでフェトン反応というものが起こりフリーラジカル(活性酸素)が発生しやすくなります。
加工肉にも添加物が多量に入っており活性酸素を発生させやすく、大腸ガンのハイリスク食品です。
ちなみにアメリカがん研究協会(AICR)や世界がん研究基金(WCRF)による報告でも赤身肉が大腸ガンのリスクを確実に上げるとされ、食べ物としては大腸ガン発生の危険性が最も高い因子の1つと紹介されています。
大腸ガンは日本人の死因第2位(男性3位、女性1位)
普段の食事を思い返しても赤身肉やウインナーやハムなどの加工肉を多く食べている人は今の内から将来の大腸ガンを意識した方がいいと思います。
余談になりますがそんな僕自身も大腸ガンのリスクが高い一人です。
最近の研究で盲腸(虫垂炎)になり切除した人は大腸ガンのリスクが高くなるかもしれないというデータも出ています。
僕も小学生の頃に手術で切除しています。。
では大腸ガンを予防するにはどうしたらいいのでしょうか。
大腸ガンを予防するには
大腸ガンの予防食材は調べるとたくさん出てきますが、その中で今回頻回に出てきた「フリーラジカル(活性酸素)」を抑える食材を1つ紹介します。それは
エキストラバージン・オリーブオイルです。
日本に販売されているオリーブオイルには「エキストラバージン・オリーブオイル」と「ピュアオイル」の2種類があります。
エキストラバージン・オリーブオイルにはピュアオイルに比べてポリフェノールが豊富に含まれており、このポリフェノールに抗酸化作用があるためフリーラジカルを抑制し大腸ガンの予防になります。
個人的にオススメの食べ方は、朝食にバナナ1本をカットした上にエキストラバージン・オリーブオイルをかけてその上にヨーグルトをのせて食べる方法です。
エキストラバージン・オリーブオイルは苦味が少し強いので、甘みが欲しいと思う方はシリアルやドライフルーツなどのトッピングもオススメです。
次回は多くの人が気になっている『コレステロール』についてお話していきたいとおもます。
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# 30 脂肪(脂質)について考える 其の一
脂質と何か
脂肪(しぼう、食事脂肪)は、動植物に含まれる栄養素の一つ。日本の栄養学では一般に脂質(ししつ)と呼ぶ。また脂肪、脂質、油、脂(あぶら)といった用語は、各々うまく定義されずに使われていることがある。
脂質は、炭水化物、たんぱく質と共に「三大栄養素」と総称され、多くの生物種の栄養素である。この三大栄養素の比率をそれぞれの頭文字をとってPFCバランスという時、英語圏に倣って脂肪(Fat)を用いている。食品中の脂肪と言う時、脂質やその詳細である脂肪酸を指すであろう。常温で液体の油脂は油を指し、一方で脂肪と呼ぶとき固体のこともある。食品中の脂肪と言う時には、脂質を指し個体と液体の両方を含みうる。自らの体を指して脂肪と言う時、脂肪酸のグリセリンエステルの中性脂肪であることが一般的である。
脂質は、単位重量あたりの熱量が9kcal/gと他の三大栄養素の2倍以上あり、生体は食物から摂取した脂肪をエネルギーの貯蔵法としても利用している。脂質のうち多価不飽和脂肪酸に分類されるω-6脂肪酸のリノール酸とω-3脂肪酸のαリノレン酸が必須脂肪酸である。
※Wikipediaより一部抜粋
僕のブログ内でも以前脂肪酸についてお話ししました。
脂肪分の多い食事=「肥満」「病気」?
近年の糖質制限ダイエットや筋トレブームの影響で、多くの人が栄養についての知識を持つようになりました。
「炭水化物を減らせば痩せやすい」
「筋肉を付けるにはタンパク質が重要」
などはもはや常識となっています。
では「脂質」についてはどうでしょうか?
実はほとんどの人が脂肪分の多い食事をすると太ってしまうと思っています。
ダイエット本や雑誌、筋トレが趣味の人のブログやYouTubeなどでもしきりに
「脂肪分の多い食品は肥満になりやすいので避ける」
「脂肪の摂り過ぎは心臓病や動脈硬化、脳卒中のリスクを高めるので良くない」
と当たり前のように発信しています。
多くの人がなんとなく「脂肪=悪」のようなイメージを持ってしまっているのではないでしょうか。
でも真実は違います。
脂肪の真実
1980年に脂質摂取比率を30%するべきだとしていたアメリカの食事ガイドラインが、2005年に20〜35パーセントとなり、2015年には上限設定を完全に撤廃しています。
さらに、アメリカ心臓病学会は2011年に摂取する脂質が多いほど中性脂肪が下がりやすいということを認めているそうです。コレステロールは脂質の摂取を増やしても減らしても血中コレステロールが下がることはありません。
もう1つアメリカのデータですが、2017年8月『ランセット』という権威ある化学系雑誌の電子版に【健康な食事とは?】という内容の論文が発表されたそうです。
この研究では一般的に考えられているのとは反対に、摂取脂肪エネルギー比が35%程の脂質摂取割合の高い人は低い人に比べて死亡リスクが低くなり、糖質摂取割合の高い(60%以上)人は心血管疾患のリスクが高くないにも関わらず死亡率が高かったという内容でした。
この研究は世界18カ国低・中・高収入の13万5千人を平均7年半追跡調査したPUREと名付けられた疫学調査のデータを用いた解析によるものです。
この研究では脂質については性質の異なる脂肪酸を分けて検討しており、その結果摂取カロリーの増加や飽和脂肪酸の摂取増加によっても主要な心血管疾患との関連は見出されなかったとされています。
また、驚くことに脂肪摂取量の多さは死亡率の低さとも関連していたと示されています。
これは主なタイプの脂肪(飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸)全てにみられ、さらに飽和脂肪酸は脳卒中のリスクの低さとの関連もあったとしています。
最近では日本でも飽和脂肪酸(MTC)の一種である中鎖脂肪酸(ココナッツオイルやパームフルーツなどに含まれる)がアルツハイマー型認知症の症状を軽減させたり、すぐに肝臓に届きエネルギーとして使われやすく体脂肪になりにくいためダイエットにも有効であることが分かり話題になっています。
(特に大事なところは赤線でアンダーラインにしておきました)
現在日本の厚生労働省の推奨する脂質摂取割合は25%です。
今後日本のこの数字もアメリカ同様に撤廃あるいは改定されると思われます。
じゃあなんでもかんでも脂肪分の多い食事を摂れば健康で長生きできるのかといえばそうではありません。
何事も過ぎたるは及ばざるが如しです。
次回は脂肪過剰摂取による悪影響についてもお話したいと思います。
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# 29 温故知新 〜皮下脂肪(中性脂肪)を減らす最も効率的な方法〜
人類は生活習慣病で滅ぶ
WHO(世界保健機関)が公表した報告書によると、世界の成人の3分の1が高血圧、10人に1人が糖尿病であり世界で5億人が肥満であるそうです。
以前のブログでもお話しましたが、高血圧や糖尿病は動脈硬化を引き起こし、それが原因の病気が死因の大多数を占めています。
上記のWHOが発表した割合も今後はどんどん大きくなっていき、タイトルでも書いたように不摂生な食事や便利すぎる環境が人類が滅ぼす原因になってくるのではないかと想像できます。
現在はダイエットのしやすい時代
目的はそれぞれあると思いますが、多くの人が現在も(過去にも)一生懸命ダイエットに励み減量向けて取り組んでいることと思います。
現在は便利な時代で、ダイエットに関する情報もスマホがあれば簡単に知ることができ、次々と新しいダイエット法や面白そうなツールも巷には溢れていて比較的ダイエットが続けやすい環境だと思います。
ここではそれらのダイエットをサポートする方法やツールに関しては触れず、人間のカラダの原理原則に基づいて減量の方法についてお話したいと思います。
「朝飯前」の運動を取り入れよう
ほとんどの人が朝昼夜の3食を毎日だいたい同じ時間に食べていると思います。
しかし、1日3食になったのは比較的最近のことで、江戸時代までは1日2食が普通だったそうです。
江戸時代と現代では環境や生活スタイルが全く違いますから、食事に関しても大きく変化してくるのは当たり前ですよね。
(健康やダイエットの為に1日2食(1食)が良いのか、3食が良いのかの考察はここでは割愛)
しかし、1つ疑問を持ってもらいたいことがあります。
朝食を食べる人のほぼ全員が、朝起きてから学校あるいは会社に行く前のタイミングに朝食を摂ると思います。
皆さんだいたい起床後30分以内には朝食を摂っているのではないでしょうか。
僕自身も朝起きてまず顔を洗い、その後すぐに朝食を摂っていました。
起きてから5分〜10分後には食事をしているんです。
この ”起きてすぐ” の食事には一体どのような意味があると思いますか?
これから始まる1日の為にエネルギーが必要になるから
前の日に夕食から何も口食べていないからエネルギー補給の為に
朝食を食べないと脳が働かないから
朝ごはんを食べるのは当たり前だから
朝ごはんを食べないと動けないから・・・?本当に?
正直いうと僕自身、朝食を摂らないと朝から活発に動けないと思っていました。
動く為にエネルギーが必要だから、朝起きてすぐの朝食が必要だと無意識に思い込んでいました。
でも本当は朝食を食べなくても余裕で1〜2時間は元気に動けます。
(多少お腹は空きますが)
江戸時代を題材にした時代劇や映画の中のセリフで
「これくらいのことなら『朝飯前』よ!」
というのを聞いたことはありませんか?
まさに「この程度のことなら朝食を食べる前の状況(体調)でも余裕でできますよ」という言い回しです。
先述したように江戸時代までは1日2食が当たり前でした。
どのタイミングで1食ずつ食べていたかは定かではありませんが、現在のように自宅に食材が豊富にあるわけでもなく、火を起こすにも時間もかかりますしおそらく朝起きてすぐには食べてはいなかったと思います。
そしてこのセリフからも想像できるように、昔の人は朝食前から当たり前のように何かしらの活動をしていたことが分かります。
僕はキャンプが趣味でだいたい2ヶ月に1度はキャンプに行くのですが、キャンプでの生活は自宅と違い色々なことが本当に不便です。
特に食事の準備にはとても時間がかかり、朝起きて朝食を食べるまでにだいたい1時間以上はかかります。
(コンビニやスーパーで買ったおにぎりやパンは基本的にキャンプでは食べません。薪割りや火起こしから始めて全て調理して作るのでここまで時間がかかります)
それでもエネルギーが足りなくて動けないなんてことは全くありませんし、むしろ胃の中は空っぽなので動きも軽いです。
前置きがかなり長くなりましたが、何が言いたいのかというともうおわかりのように
朝食の前に何かしらの活動をしましょう!
ということです。
ストレッチでも散歩でもヨガでもなんでも良いです。
できる人ならランニングをしたり筋トレもいいと思います。
やってみると分かりますが、朝起きてすぐの運動をするのその後の1日の活動にも良い影響を与えてくれます。
頭がシャキッとしたり、体が軽かったり、早起きして動いたことでその日ぐっすり眠れたりと良いことだらけです。
序盤から話が逸れましたが、今回のタイトルにもあるように皮下脂肪を減らすにも実は朝食前の運動が効果的なんです。
その理由をこれから説明します。
脂肪の分解が起こる「きっかけ」
皮下脂肪(中性脂肪)の分解が起こるのは
血糖値の低い状態が一定時間持続すること
です。
実は血中に余分なグルコースがある限り中性脂肪分解の流れにはなりません。
その理由として、余分なグルコースが血中にあればATP(アデノシン三リン酸:体内でエネルギー源となるもの)合成のエネルギー源としてグルコースを使うことができるし、何より余分なグルコースは中性脂肪に合成されるので分解されるどころか増える一方だからです。
そして原則として中性脂肪を構成する脂肪酸が糖質に変換されることはありません。
糖質は脂肪になりますが、脂肪は糖質にはならないんです。
余談ですがここから分かることは、脂肪は糖質よりもエネルギー源として重要な位置付けにあるということが理解できますね。
継続した空腹時においては、原則的に中性脂肪の分解によるエネルギーの利用が優先的に進みます。
空腹時にATPの需要が大きくなれば中性脂肪の分解はより激しくなります。
このATPの需要が大きくなる=エネルギーが必要な状況=運動などの活動をしている時
という風に考えると分かりやすいです。
つまり何度も言いますが
皮下脂肪を減らしたいなら空腹時(朝食前)こそ積極的に運動をしよう!
ということです。
今回脂肪のについての話をしましたが、脂肪とセットで嫌われている「コレステロール」について次回から少しづつお話していきたいと思います。
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# 28 呼吸がもたらす最大のメリット
呼吸は唯一〇〇をコントロールできる!
前回からの続きです。
『呼吸』が運動機能を向上させる以外に、僕たちのカラダにもたらしてくれる効果として最も重要なのは
自律神経を自らコントロールして整えることができる!
ということです。(〇〇に入る言葉は自律神経です)
よく聞く言葉だと思いますが、そもそも自律神経を整えるとはどういうことなのかを まずは説明していきます。
自律神経ってどんな神経?
まず、自律神経とは①交感神経と②副交感神経のことです。
心臓や肺、腸や血管などの内臓を支配しており、血圧や脈拍、消化などの機能を無意識の内に常にカラダにとって適切な範囲に調節してくれています。
この2つの神経は常にどちらも働いていて、その時々の状況に応じてそれぞれの働く割合が違ってきます。ネット等で調べてもらえば図でも分かりやすいものがすぐに出てくるので詳細は割愛しますが、簡単にいうと
交感神経(昼):活動・興奮=エネルギー消耗
副交感神経(夜):睡眠・リラックス=エネルギー産生
となっているのが正常だということを覚えておいてください。
ところが、現代人は自律神経の乱れとして、この交感神経から副交感神経へのスイッチがうまく切り替えれない人が非常に多く見られています。
例えば夜遅くまで明るい部屋でTVやスマホを見て、布団に入っても寝る直前までスマホを触っている人は多いと思います。
本来夜になると太陽の光がなくなり、目から入ってくる光の量は少なくなってきます。
それに伴って次第に昼間の交感神経から夜の副交感神経に切り替わり、1日の疲労を回復させエネルギーを産生するため睡眠への準備に入るはずが、いつまでもスマホの画面等から強烈な光刺激が入り、脳が活動させた状態ではなかなかスイッチは切り替わりません。
そうすると交感神経が興奮したままとなり、浅い眠りで熟眠できず夢をよく見るようになってきます。これはカラダがしっかりと休めていない証拠です。
スポーツの場面で考えてみましょう。
この自律神経のスイッチが切り替わらないことで起こりうるデメリットとしては緊迫した試合展開などの場合です。
例えば野球でピッチャーをしていた場合の、0対0で迎えた9回裏2アウト満塁。
カウントは3ボール2ストライクのフルカウント。
ヒットを打たれてもフォアボールでも失点すればゲームセットの場面。
こんな状況の時心臓はバクバク拍動し、手に汗がジワーと出てきてだんだん呼吸が浅くなってきます。周りの声もあまり耳に入ってこなくなり、焦って冷静に物事を考えることができなくなってくるでしょう。
これはまさに交感神経が過剰に興奮している状態です。
本来であればこんな時こそ冷静になり、必要以上に気負うことなく普段通りのピッチングをすることが求められます。
すでにお分かりかと思いますが、上記のようなスイッチを切り替えるべき時に横隔膜を使いゆっくりと『呼吸』を意識的にすることで交感神経と副交感神経のバランスをコントロールすることができます。
自律神経が乱れているかのチェック方法
本来自律神経とは僕たちがどんなに意識してもコントロールできるものではありません。最初にお話した通り、僕たちはどれだけ意識しても心臓の鼓動を自由に止めたり動かしたりはできませんし、今日はたくさん食べたから消化をいつもより頑張ってしよう、なんてこともできません。
自律神経がしていることは無意識下で自動的に調整してくれているからです。
しかし自律神経の中で唯一意識的にコントロールできるものが上述した『呼吸』です。
呼吸を利用して、自分の自律神経が乱れていないかの簡単なチェック方法をご紹介します。
①まず片方の指3本(人差し指、中指、薬指)で反対の手首で脈を触れてみる
②そのまま10秒程脈のリズムを感じる
③次にゆっくり深く腹式呼吸を行いながら、先程と同様に脈のリズムを感じる
A:脈のリズムがゆっくりになった→自律神経は正常(切り替えができている)
B:変化なし→自律神経乱れている?(切り替えがうまくいっていない)
100%確実な方法ではありませんが、1つの指標にはなるかと思います。
僕自身も夜勤が連続で続いたり、ストレスが溜まると脈が不規則になり自律神経が乱れているのを感じます。そんな時は寝る前の布団の中やストレッチポールの上などでゆっくりと腹式呼吸を行い自律神経のスイッチを切り替えるようにしています。
普段は無意識に行なっている呼吸ですが、本当に奥が深く『健康』には切っても切れない大切なものですね。
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# 27 お腹を知ればカラダは変わる!
上手くなるには「お腹」がカギを握っている
前回のブログでは、スポーツのパフォーマンスを上げる為に必要な要素の1つとしてインナーユニットの1つ
「横隔膜」
についてお話しました。
簡単におさらいすると
- 横隔膜の主な働きは「呼吸」であり
- 最近の子ども達はこの横隔膜が上手く使えていないケースが多い為
- トレーニングの最初は呼吸にアプローチしたエクササイズを行いますよ
と言うことでしたね。
今回は横隔膜についてもう少し詳しくお話していきたいと思います。
昔の人も感じていたお腹の重要性 〜温故知新〜
「横隔膜」の話の前に、昔からある言葉で「お腹」がつく言葉(慣用句)をいくつか思い浮かべてください。
「腹を決める」「腹を立てる」「腹を据える」「腹が黒い」「腹を割る」
「腹を切る」「腹を探る」「自腹を切る」「腹の虫がおさまらない」
ちょっと考えてみるだけでも結構色々と出てくると思います。
なぜこんなにも多くの言葉に「腹」が使われているのでしょうか。
おそらく昔の人も、なんとなく運動や感覚(感情)とお腹は密接に影響しているんだろうと敏感に感じ取っていからだと思います。そして現実にお腹は運動や感覚(感情)に大きく影響を与えていることが分かっており、その理由をこれから説明して行きたいと思います。
横隔膜と周囲の筋肉や骨との関係性
前回のブログでも横隔膜の位置を確認してもらいましたが、横隔膜が付着している部分を細く見てみると
- 腰椎(腰骨)
- 肋骨(胸郭)
- 胸骨
となります。ここで特に注目してもらいたいのは1と2です。
まず1の腰椎との関係ですが、横隔膜には「脚」と言う下方に伸びた文字通り脚が左右に1本ずつあります。横隔膜が体幹の安定に関係している理由は、この脚が腰椎に付着している構造が影響しているんですね。
体幹の安定=腰椎の安定でもあるんです。
体幹トレーニングをされている方なら聞いたことのある「腹圧」や「パワーポジション」も腰椎を安定させることが関連してきます。
だんだんとスポーツ現場にも浸透してきましたが、本来腰椎は回旋(腰を捻る動作)が苦手な関節です。と言うよりほとんど動きません。
文献にもよりますがだいたい腰椎の回旋の可動域は5°程度だと言われています。
その為「腰を回せ!」とか「腰を意識して!」のような言葉がけや意識は腰痛の原因になりますので注意してください。
では腰が動かないならどこを動かすべきかと言うと、2の肋骨を含む胸郭と言われる部分です。
前回のブログでお話した、呼吸チェックをする時にお腹の動きと同時に見るポイントが胸(胸郭)の動きです。
横隔膜は肋骨に付着しているので、横隔膜が硬いあるいは弱いとその付着部である肋骨の動きが出にくくなります。
肋骨というのは本来背骨と連動してしなやかに動くもので、走る、投げる、泳ぐなどあらゆる動作の時に曲がったり捻ったりしてスムーズな運動を可能にしています。
横隔膜の動きが悪いと
↓
肋骨が動かない
↓
背骨がしなやかに動かない
↓
無理に他の部分(腕や腰など)で動かそうとする
↓
他の部分にストレス倍増
↓
痛みが出る(怪我)
といった最悪のループに陥ります。
『体幹の安定』と同様に重要となるスポーツのパフォーマンスを上げるもう1つの要素『股関節と脊柱(胸郭)の柔軟性』の中にこの考え方も含まれてます。
次回は横隔膜と感覚(感情)の関係について、引き続きをお話していきたいと思います。
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# 26 スポーツのパフォーマンスを上げる為に必要不可欠な要素
運動をする上でカラダに求められる事とは
僕は看護師として普段働いていますが、アスレティックトレーナーとして学生アスリートや一般のスポーツ愛好家の方に対して怪我の予防やパフォーマンスアップを目的とした活動もしています。
結論から言うと、スポーツのパフォーマンスを上げたり怪我をしにくいカラダに必要なことは
『体幹の安定』
『股関節と脊柱(胸郭)の柔軟性』
これは陸上、水中関係なくあらゆる全てのスポーツに必要な要素です。
実際に僕のトレーニング指導を受けてもらっている方にもここは特に意識してアプローチしています。(もちろん個人差はあり必要があると評価した人に対してですが)
それでは1つずつ説明していきます。
体幹とは何か
まず体幹ついて簡単に説明します。
体幹とは、頭と手足を除いた胴体の部分のことです。そのため、体幹トレーニングをする際はクランチやシットアップのような腹筋や、バックエクステンションなどの背筋をする人が多くいます。
これは全く運動をしていなかった人が、自宅で簡単に行う運動としてであれば全く問題ないと思います。
もう1つ体幹と同じような言葉で「コア」と言うワードも良く聞くと思います。
コアとは「核」のことで、より体幹部の深い部分のことを指しています。
このコアを更に具体的に専門用語でいうと『インナーユニット』と呼ばれる部分に当たります。
スポーツのパフォーマンスを上げるためには、このインナーユニットが特に重要になってきます。
インナーユニットについて
インナーユニットとは
①横隔膜②腹横筋③多裂筋④骨盤底筋群
の4つの筋肉のことをまとめてこう呼びます。
このインナーユニットの働きをシンプルに言うと
『体幹を固定するのではなく安定させ、手足を動かしやすくし、最適な呼吸を行うこと』です。
僕のトレーニングを受けている学生たちに話を聞くと、体幹トレーニングをクラブや自宅でもしているけど何の為にやっているのかよく分かっていない学生がほとんどです。また本やTVで見た体幹トレーニングのフォームを真似することに一生懸命になったり、同じ姿勢で何分以上耐えれたかを重要視した怪我の原因にもなりかねないことを指導されているケースが本当に多いです。
インナーユニットを機能させるアプローチ方法はたくさんありますが、僕が指導する際に必ず最初に行うアプローチは「呼吸」です。
最も基本的であり重要なエクササイズ「呼吸」
インナーユニットを構成する筋肉の中に横隔膜と言う筋肉があります。
実は横隔膜の役割こそが呼吸なんです。
横隔膜はこのように胸とお腹の境界線になっており、横隔膜が収縮すると下に向かって動きます。そうすると胸のスペースが広がり、間接的に肺を膨らませ空気を吸うことができるのです。
簡単に言うと、肺自身が広がったり縮んだりして空気を吸うのではなく、肺の下側にある横隔膜が動いて肺を広げていると思ってもらって大丈夫です。
(余談になりますが、焼肉で僕が1番好きな部位のハラミは横隔膜です)
トレーニングを指導していてよく見られるのが、腹式呼吸などをしてもらうとお腹を大きく膨らませたり、薄く細くすることが苦手な人がとても多いです。
反対に、お腹を意識して呼吸をさせているのに息を吸う際に肩や首まわりが動いてしまうケースもよく見られます。また呼吸の浅い人も同様に、呼吸時に肩や首回りが動きやすい特徴があります。
これは普段から横隔膜の機能を十分に使えておらず、副呼吸筋と呼ばれる横隔膜以外の筋肉を使って呼吸をしていることで見られるサインです。
副呼吸筋も激しい運動時やより多くの呼吸が必要な場合は横隔膜と一緒に使われますが、普段の生活で呼吸をする際にはそれほど多くは使われないのが正常です。
このように横隔膜の機能が低下している人はお腹の動きをじっくり観察してみるとよく分かります。
自分のお腹への意識が薄いと横隔膜を自由に動かすことができないので、最初にじっくりと呼吸エクササイズを通してインナーユニットにアプローチしていきます。
こうした呼吸を通した横隔膜へのアプローチを行うだけでも、直後に姿勢の変化が起こったり重い物を持っても軽く感じるような現象が起こります。
これは横隔膜を刺激したことで一時的に体幹(コア)が安定し、手足を楽に動かしやすくなった結果の表れです。
少し長くなりそうなので今回は一旦ここまでとします。
次回も横隔膜についてお話したいと思います。
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# 25 「酵素ドリンク」「酵素風呂」女子力UPには必須!でも『酵素』って・・何?
そもそも『酵素』とは
『酵素』とは生命活動に必須の触媒であり、体内で起こる様々な化学反応を仲介する道具のような役割をしています。
細胞と同じように筋肉には筋肉の、腸には腸の、肝臓には肝臓の働きに合わせた酵素が存在していて、その数は数千〜数万種類とも言われています。
この膨大な数の酵素を大きく2つのグループに分けると
消化酵素:食べ物の消化や吸収を助ける
の2つに分けられます。
まず消化酵素には、カラダの中の様々な消化器官で栄養ごとに適した消化酵素が働いています。私たちが口にしている食べ物は消化酵素によって体内に吸収できる大きさまで分解された後で、はじめてエネルギーやカラダの材料として利用できるようになります。代表的なもので言えば、唾液に含まれるアミラーゼ、胃液に含まれるペプシン、 膵液に含まれるリパーゼが有名です。
これら消化酵素のお陰で私たちのカラダは食物が異物ではなくなり、体内に吸収されるようになるのです。
次に、吸収された栄養素は各所で有効に使われますが、有効に使うための働きを仲介しているのが代謝酵素です。
アミノ酸から筋肉、骨、皮膚、髪の毛、免疫に関わるタンパク質を新たに合成したり、ブドウ糖からエネルギーを作ったりするのを助けるのが代謝酵素になります。
その他にもアルコールの解毒やホルモンの合成、脳の機能を正しく保つことや神経の情報伝達にも代謝酵素は欠かせないものになってきます。
『酵素』はめちゃくちゃ大事!だけど
上記の説明で酵素の役割はなんとなーく分かってもらえたかと思います。
じゃあやっぱり酵素ドリンクや酵素サプリメントをたくさん摂った方が良いじゃなか!と思うかも知れませんがこれには少し誤解があります。
代謝に必要な酵素は体内で合成されています。前回のブログの最後の方で少し触れました↓
何らかの先天性疾患でもない限り、カラダに必要な酵素が枯渇して健康に影響が出るということはほとんどありません。
そして以前にもお話したコラーゲン同様に、実はほとんどの酵素はタンパク質からできています。
消化管に入ったタンパク質は、強酸性の胃で変性してしまい何種類ものプロテアーゼ(タンパク質を分解する酵素の総称)によってアミノ酸まで分解されてしまいます。
仮に分解されなかったとしても、タンパク質の分子は巨大すぎるので細胞膜を通過することはできませんし、通過できないということは体内でコラーゲンや酵素がそのまま利用される可能性はほぼ無いということになります。
じゃあ酵素ドリンクなんて意味がないのか?
僕の周りにも「〜酵素を飲んでから体調が良くなった。」「〜酵素で痩せた!」という人(女性)が結構います。そして驚くことに実際に体調も良さそうで体重も落ちて見た目も間違いなく痩せています。
しかし、上記の理由で酵素がそのまま体内に吸収されることは考えにくいので、おそらく彼女たちに起きた変化は摂取した酵素自体の効果ではないと思われます。
ではなぜ、彼女たちは体調が良くなり痩せていったのか。
その理由として考えられることは、おそらく彼女たちが飲んでいる酵素ドリンクはそれなりの値段がすると想像できます(値段は知りませんが1回分が100円や200円ではないはず・・)
値段の高さ=その製品の価値ではないと思いますが、酵素ドリンクを作るにあたりそれなりの設備必要な製法や産地などにもこだわった多くのフルーツや野菜を使って作られていることが推測されます。
そうして作られた製品には、ソフトドリンクや野菜ジュースよりもはるかに多くのビタミンやミネラル、ファイトケミカルなどが含まれている可能性が高いです。
元々栄養バランスの悪い食事をしていた人が「〜酵素」に含まれている(かもしれない)これら栄養素を摂取することで、体内の「自分の酵素」の働きが良くなり体調や体質が改善した、というのが現実ではないでしょうか。
こうしたサプリメント類は普段の食事に不足している栄養素を手軽に採れるメリットがあるので僕は推奨していますが、製品によってはあまり摂っても意味がなかったり粗悪品でカラダに害となるものもあるそうなので、きちんと調べて利用して下さいね。
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# 24 骨折は人生を変える
骨折の恐怖
「ガン・脳卒中・心疾患」の3大疾病は日本人の死亡順位の上位を占めており、人々の関心も高く検診を受けたり保険に入ったりと皆さん様々な対策をとられていることと思います。
そんな中、国内の患者数が約1300万人いて今後も増え続けると言われているのが
骨粗鬆症です。
特に閉経後の女性はホルモンバランスの影響で、骨密度が急速に低下する為骨粗鬆症になりやすく、患者の70〜80%が女性だと言われています。
近年では「若年性骨粗鬆症」と呼ばれる症状も増えてきており、栄養バランスの乱れが骨形成の異常として現れていたり、無理なダイエットが骨粗鬆症の原因にもなっています。
骨を強く=カルシウム
骨の材料でまず思い浮かべるのは皆さんカルシウムだと思います。
しかし、骨が硬く折れずらいのはコラーゲンが螺旋状の枠組みを作り、その周囲を囲うようにカルシウムがくっついて構成されているから硬さと弾力性が保たれているのです。
実は靭帯、腱、骨、軟骨などを作っているタンパク質もコラーゲンなんです。以前の記事でも少しだけコラーゲンについてお話ししましたね。
人間の体内に存在しているコラーゲンの量は全てのタンパク質の約30%も占めており、コラーゲンの繊維がビッシリと詰まっているからこそ骨や軟骨は弾力性を保ち衝撃による骨折を防ぐことができるんです。
つまり、加齢や過度なダイエットによって骨が弱く脆くなっているのはカルシウムが減少するからだけではなく、コラーゲンが減少していくことも大きな要因だということを知ってください。
寝たきりの原因「大腿骨頚部骨折」
骨の弱さに気づくのは骨折した時と言われます。
しかし、骨粗鬆症患者の1300万人の内何らかの対策をしているのは200万人ほどと推定されており、これは非常に危険な状況と言えます。
実際骨粗鬆症患者の増加を背景とした大腿骨骨折は増加傾向にあると言われています
少し古いデータではありますが2007年には男性で約3万1000人、女性で約11万6800人に大腿骨骨折が発生しており、そのほとんどが50歳以上で発生率は加齢と共に加速度的に上昇していくというデータが出ています。
私の勤める病院でも大腿骨骨折の患者様が次々と入院してこられます。
リハビリ期間を経て経過の良い方では元の生活に戻ることもできますが、ほとんどの方が骨折前と比べてADLの低下が起こり元の生活をすることが困難となって施設へ入所されたり、最悪のケースでは寝たきりになる方も少なくありません。
骨粗鬆症の患者数から見ても決して人事でないことが理解できると思います。
骨折予防に必須の栄養素と腸内細菌の関係
骨の強化の為には先ほど述べたコラーゲン(タンパク質)やカルシウム以外にもビタミンKやビタミンDも必要となります。更には前回まで何回かに分けてお話した腸内細菌にも重要な役割があるんです。
例えば、ビタミンKはカルシウムの骨への沈着を促したり、カルシウムが骨から流出するのを防ぐ働きや、骨の石灰化を促す働きがあります。ビタミンKは食べ物からも摂取できますが体内でも合成されています。そのビタミンKを合成しているのが実は腸内細菌なんですね。
あまり知られていないことですが「ビタミンK」はK1とK2に分けられ、主に植物から摂取できるのがK1で腸内細菌による腸内酵素によって合成されるのがK2となります。
そしてこのビタミンK2の方がK1に比べて吸収率に優れていると言われています。
その他にもビタミンB2、B6、B12、ビオチン、葉酸など多種類のビタミン類が酵素によって合成されています。
また今回も腸内細菌が登場しました。
腸内細菌は骨折を防ぐ役割もあるなんてスゴイと思いませんか?
知れば知るほど自分と共存している腸内細菌を大切にしないといけないなと思います。
次回は今回も少し触れた『酵素』についてお話したいと思います。
酵素を飲んで健康に?酵素を飲んで痩せる?美容のために酵素が良い?
なんだか酵素ってカラダにとってパーフェクトなイメージですよね。
酵素についてもっともっと理解を深めましょう!
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# 23 免疫力=腸内力
免疫力とは何か
『免疫力』とは、体内に入ったウイルスや細菌、異物などから自分自身のカラダを守る力のことです。主に白血球がその役割を担います。
一般の方でも「白血球」はご存知だと思いますが、実は白血球とは以下の5つ免疫細胞の総称になります。
①好酸球 ②好中球 ③好塩基球 ④リンパ球 ⑤単球(マクロファージ)
この中でも④リンパ球について少しお話したいと思います。
免疫細胞の要 TEAMリンパ球
全ての白血球が免疫に関与しますが、リンパ球はその他の免疫細胞と違いチームを作って体内に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃する特徴があります。
チームはNK(ナチュラルキラー)細胞、B細胞、T細胞などで構成されます。
NK細胞はガン細胞を攻撃してくれる免疫細胞としても知られていますよね。
カラダの中のリンパ球の数の多さや働き=その人の免疫力とも言えます。
ではこれらリンパ球はカラダの中でどこに存在しているのでしょうか。
リンパ球の秘密基地
免疫細胞は常に一定量が血液内を流れており、全身を巡回して細菌やウイルスを攻撃、除去してくれています。
そんな中、体内で最もリンパ球が集まる場所はなんと小腸なんです。
リンパ球全体の60〜70%が小腸に集中していると言われています。
これを「腸管免疫系」と呼びます。
腸管免疫の特徴
腸管免疫は細菌やウイルスなどの病原体を排除するけども、食べ物や無害な腸内細菌などのカラダに害のないものは排除しないといった特徴があります。そのため腸管免疫系が維持できていれば病気にもなりにくく、健康でいられるということになります。
こうした腸管免疫系の主要となるリンパ球の栄養分はアミノ酸の一種である
グルタミンなんです。
グルタミンは生魚や生肉、生卵、大麦などに多く含まれています。
グルタミンは40℃以上で加熱すると効果が落ちてしまうので、できるだけ生で食べることがオススメです。
グルタミンは体内で合成できるため非必須アミノ酸の一種ですが「ある種の条件下では必須となるアミノ酸」として位置付けられています。
なぜならグルタミンは病気やケガ、過度な運動などで減少してしまい、その結果免疫力の低下が起こりやすくとても重要な栄養素なんです。
最近では腸内に免疫細胞が多く存在することは少しずつ知られるようになりました。
そのため健康を維持するためには、絶対に腸内環境を意識しなければいけません。
いつまでも健康で人生を楽しむために、食べ物や自分のカラダについて興味を持ち
常に情報収集をしていきましょう。
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# 22 腸内環境を考えた生活とは
普段の生活で気をつけるべきこと
腸内環境のバランスの乱れが様々な病気の原因になることは以前お話しました。
そこで、普段の生活の中で腸内環境のためにできる工夫を知っておきましょう。
①外食の時は和食を選ぶ
実は腸内細菌のパターンは世界の地域ごとにそのタイプが異なります。
日本人は海藻類を分解する酵素を持っている腸内細菌(バクテロイデス・プレビウス)が定着しているので、海藻類の栄養素を効果的に吸収することができます。
逆に、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素を持っている日本人は少ないため、牛乳の栄養素をうまく吸収することができないのです。(乳糖不耐症)
※私自身も乳糖の多く含まれるプロテインを飲んでいた時期は、お腹がゴロゴロしたり下痢になりやすかったです。乳糖の少ないものに変えてからはなくなりました。
私も以前は定食屋さんなどに行くと、毎回ハンバーグや唐揚げなど味の濃い肉料理がメインのメニューを選びがちでした。
しかし、日本人の腸内細菌にあった和食にはバランスよく自然の食材が含まれていることが多いので、普段和食を食べる機会が少ない人こそ外食の時くらいは本能に任せず、腸内細菌のためにと思って和食を選んでみましょう。
②発酵食品を積極的に食べる
発酵食品(納豆、味噌、漬物、キムチなど)は微生物多様性が大きいため、乳酸菌などの多様な善玉菌を取り込むことができます。
多様な菌を取り込んでいる人の方が、免疫力が強く有病率が低い傾向にあります。
しかし、スーパーなどで安価で売られている大量生産されているタイプの商品は、特定の菌しか使っていないことが多く、効果が低い傾向にあるようです。高ければ良いってものではないかもしれませんが、安いには安いなりの理由があります。
③良質な油脂を取り入れる
良質な油脂は細胞やホルモンの材料であると同時に、良質な腸内環境作りにも必須となる。油脂の話も以前ブログでお話しましたが、現代人は揚げ物や加工食品に多く含まれる炎症を起こすタイプの油脂の過剰摂取で、腸内環境のバランスを崩している人が多いと言われています。普段から摂取する油脂も腸内環境に大きく影響します。
油脂についての記事はコチラ。
④除菌・滅菌しすぎない
私自身これは結構重要だと考えています。最近は高性能な空気清浄機がどんどん発売され、除菌スプレーや除菌シートなど当たり前のように使われていますが、本当にそこまで「除菌」しないといけないのでしょうか?
確かに重症な感染症を引き起こす菌も存在しますが、普段の生活でそこまで心配する必要はないと思います。反対に食事の前に親が除菌シートで一生懸命に子どもの手を拭き、一日中空気清浄機をフル稼働させてまで除菌対策をしている場面を見ると、生涯で最も免疫力を高める大事な時期にその機会を奪われた子どもの将来の健康が本当に心配になります。
話は逸れましたが、過剰な衛生管理は多様な菌に触れる機会を少なくします。経済発展と腸の病気のリスクは比例しており、あまりにも清潔すぎる環境は要注意です。自然環境や日常生活の中で多様な菌に触れる機会があるかどうかがアレルギーなどにも明らかなに関係していますので、自分自身の中で共存する菌のためにも、菌に触れる機会をあまり奪わないようにしましょう。
長くなってきたのでこの辺で。
今回少しだけ「免疫」について触れましたので、次回は腸と免疫についてもお話したいと思います。
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# 21 腸内環境は変わらない!?
赤ちゃんが立って歩き出す前に全て決まる
人の腸内の環境は実は生後10ヶ月頃にはある程度決まってしまいます。
そして、その後一生変わることがありません。
また個人個人の腸内細菌叢(腸内フローラ)は指紋のように千差万別で、全く同じ腸内細菌叢を持つ他人はいないと言われています。
じゃあ腸の為にヨーグルトを食べていることには意味がないのか?
実を言うと、ヨーグルトに入っている菌はほとんどの場合腸に住み着かないことが分かっています。
ヨーグルトを毎日食べ続けているうちは便から菌が検出されますが、食べるのをやめれば数日で検出されなくなる。つまり、菌は定住しないのです。
しかし、ヨーグルトなどの発酵食品を摂取することには菌が腸内に定住しなくとも、とても大切な意味があります。
最近話題のワード『プロバイオティクス』
最近「プロバイオティクス」という言葉をTVや雑誌でもよく目や耳にするようになりました。
プロバイオティクスとは、腸の善玉菌を増加させて腸内環境を良くする微生物や菌、またはそれらを含む食品のことをさします。
プロバイオティクスの代表が乳酸菌。
ヨーグルトなどに入っている動物由来のものを動物性乳酸菌。漬物、キムチ、味噌などに含まれているものを植物性乳酸菌といいます。
動物性乳酸菌の多くは胃や腸の中で死滅してしまい大腸まで届きにくいのに対し、植物性乳酸菌は酸やアルカリ、温度変化に強い特徴がある為、胃や腸で死滅することなく生きたまま大腸に届きやすいです。(最近では「生きたまま腸に届く高生存ビフィズス菌」というキャッチコピーの商品も増えてきましたが)
生きたまま大腸に届いた植物性乳酸菌は、乳酸を放出して腸内環境を弱酸性にし、善玉菌を増加させてくれます。
腸の話をするとなかりの文字数になるので、今後も何回かに分けて話を進めないと混乱してしまいます。
私自身も膨大な量の情報を整理するのにかなり時間がかかりました。
これからも多くの新しい情報が出てくると思われるので、そちらにもアンテナをはって敏感になっていないといけませんし、それが正しい情報なのか誤っているのかもしっかり吟味する必要があります。
現在シリーズ動脈硬化でお話させていただいていましたが一度ここで終了とします。
次回からも健康や食についての情報を分かりやすく発信していきますので、よろしくお願いします。
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# 20 善玉菌と悪玉菌と「日和見菌」
腸内細菌は3種類に分類される
「善玉菌」や「悪玉菌」はよく聞くフレーズです。
しかし、腸内に最も多く存在するのは「日和見菌」と呼ばれる細菌達です。
腸内細菌が乱れた状態とは、この日和見菌のバランスが関わっています。
健康的な人の腸内細菌のバランスは
善玉菌(20%)悪玉菌(10%)日和見菌(70%)
と言われています。
簡単に説明すると
カラダに良い影響を与える酵素を作るのが「善玉菌」
カラダに悪い影響を与える酵素を作るのが「悪玉菌」
どちらにも属さない菌が「日和見菌」
※多くの人が興味を持っていると思われるこの酵素については後日詳しく説明します。
善玉菌 < 悪玉菌 = 腸内環境のバランスの乱れ
ですが、純粋に悪玉菌が増加するのではなく、腸内に最も多く存在する「日和見菌」が
普段は悪性ではないにもかかわらず、悪玉菌が活発になると一緒になって悪さをしてしまいます。
では、なぜ人のカラダはこの害のある悪玉菌を排除しないのかというと、コレラ菌や サルモネラ菌などの強力な菌が体内に侵入したときは、この悪玉菌がこれらの菌を排除してくれるからなんですね。なので、上記の腸内環境のバランスを保つことが重要になってきます。
具体的には、悪玉菌が優勢になってくると硫化水素、アンモニア、インドール、アミンなどの様々な(毒)ガスが腸内で作られ、これがガン、動脈硬化、糖尿病、腎不全、 心筋梗塞、脳血管障害、アレルギーなど多くの病気の引き金になっていることが分かっています。
次回はどのような食事や生活をすれば、腸内環境の悪化を防ぐことができるのかをお話したいと思います。
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# 19 私と腸内細菌
あなたの体重は間違っている
「ん?一体どういうことだ??」
と思われたと思います。
ということで、どういうことかを説明します。
例えば、今あなたが体重計に乗ったとします。そこで体重が52kgだったとしましょう。
あなたは体重を50kgにするために、毎日食事を減らしたり運動をして体脂肪をあと2kg減らそうと一生懸命頑張っているとします。
そんなあなたに私は言います。
「あなた自身の体重は50kgですよ」
「そんなはずはないです。私の体重は52kgです。この1ヶ月毎日体重を測っていますが全く体重は変化していません。体重計も最新の物で、毎日体重を測る時間やタイミングなどの条件も同じにしています。2kgも誤差はないはずです」
「そうじゃありません。あなた自身の体重は50kgです。それ以外の2kgはあなたの中に住んでいる細菌の重さです」
「!?」
私たちの腸内(正確には小腸下部の回腸あたりから大腸にかけて)には、様々な種類の細菌が生息しています。
その数はなんと5万種類、約1000兆個以上と言われています。
こうした細菌の重さは、成人で約2kgもあり、私達の体重は体重計で出た数値から2kg引いたものとなるのも納得できますね。
腸内細菌の種類
腸内細菌の代表的なものを紹介します。
ビタミンの合成、感染予防、免疫力アップ、消化吸収に関わる
ガス発生、発がん物質、細菌毒素、腸内腐敗に関わる
善玉菌あるいは悪玉菌のどちらかが優勢な方につく
次回からも腸内細菌の重要性について詳しくお話していきます。
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# 18 AGEの撃退法
積極的に摂るべき栄養素
AGEは一旦体内に取り込まれると代謝されにくく、蓄積されやすいという特徴がありました。
AGEが体に及ぼす影響は前回のブログでお話しました。
ハーバード大学の研究ではビタミンB1とビタミンB6を積極的に摂ることでAGEが低下することを実証しています。
ビタミンB1
糖質と脂質の代謝を助けます。
主に豚、大豆、きな粉、うなぎ、ゴマ、玄米などに含まれています。
ビタミンB6
タンパク質の代謝を助けます。
主に牛肉、鶏肉、カツオ、マグロ、ニンニク、さつまいも、落花生などに含まれています。
簡単に説明するとこんな感じです。
普段の食事でも割と意識すれば摂れるものばかりですね。
絶対的エース『ポリフェノール』
抗酸化物質の代表格である『ポリフェノール』にもAGE生成抑制作用があることが分かっています。
ポリフェノールは植物の光合成によって生成される色素や苦味、アクなどの成分でほとんどの植物に含まれています。代表的なポリフェノールを紹介します。
アントシアニン(ブルーベリー、紫芋)
カテキン(緑茶)
イソフラボン(大豆)
リグナン(ごま)
クルクミン(ウコン)
クエルセチン(玉ねぎ)
キウイポリフェノール(キウイ)
β-クリプトキサンチン、ヘスペリジン(温州みかん)
が有名なポリフェノールです。
ポリフェノールってこういった様々な成分の総称だということを初めて知った方も多いのではないでしょうか。
こうして見ると、意外と身近な食材にもポリフェノールが含まれていますよね。
ただ残念ながらポリフェノールは一度に大量に摂取しても持続的な効果は望めない為、毎日少しずつコンスタントに摂取する必要があります。
野菜や果物を毎日積極的に摂取しましょうと言われる背景には、こうした健康効果があるからなんですよね。
普段からファストフードや偏った食事ばかりの人のカラダは、知らない間にどんどん酸化&糖化が進んでしまっています。
このブログが少しでも食事内容を見直すきっかけになればと思います。
次回からシリーズ動脈硬化の3つ目のテーマ「腸内環境」についてお話していきたいと思います。
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# 17 AGEの補足説明
AGEで最も影響を受けるのは・・・
AGEの影響を最も受けやすいのは、体内のコラーゲンです。
糖化が進むとコラーゲン本来の弾力性が失われて張力もダウンします。
カラダ中に張り巡らされている血管にもコラーゲンはとても重要です。
血管にコラーゲンが十分にあると、しなやかで柔軟性のある血管を維持することができます。
ところが、AGEによってコラーゲンが破壊されれば血管は脆くなり、血栓ができる可能性も高くなります。
血管内壁にAGEが溜まれば動脈硬化を引き起こし、ひいては脳梗塞や心筋梗塞を招きかねません。
これは余談ですが、コラーゲンといえばほとんどの人が『肌』を思い浮かべると思います。
その人の第一印象を左右する『肌』。
周知のように、肌のハリや弾力を保っているのはコラーゲンなので、このコラーゲンが糖化すれば、肌はカサカサに乾燥してシワも増える。皮膚もたるみがちなり、実年齢よりも”老け顔”に見られやすくなります。
南デンマーク大学が〈見た目が老けている人は、実際の寿命も短い〉といった研究成果も発表しているそうです。
見た目が老けている=糖化が進んでいる=寿命が短い
ということが理解できると思います。
(見た目が老ける要因はこの他にもありますが。)
次回はこのAGEを除去する方法をお話したいと思います。
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